日向敏文の作り出す音楽には,いつも旅人の視点,安住の地のない異邦人がいるかのようなサウンド・ドキュメントを思わせる音が織り込まれた乾いた情感があった。今回は懐かしい想い出の地に終(つい)の住家を見つけた安堵感にも似た安らぎがある。